AKIO HASEGAWA

アストロコーヒーのエッグサンド

文・長谷川昭雄

そしてこの夏、私は再びデトロイトに訪れた。 テクノミュージック発祥の地は、私に小さな希望を与えてくれた。 最初に向かったのは、廃墟となった電車の駅。ベルリンにある伝説的クラブ、ベルクハインのような存在感だった。18階立てのこのビルは、遠くからでも見入ってしまう存在感。麓に来ると、神様の前に立って、見つめられているような気持ちになるほど、キャラクター感が満点だ。ただの建物ではないのである。

この近くにいくつか良いコーヒーショップがあった。 一つは《Astro Coffee》 。朝からミーティングや友達とのデート客で賑わっていた。私が飲み親しんでいる《ハート・ロースターズ》のコーヒー(私の地元ph07ポートランドのもの)をサーブしているお店だ。ここで食べた朝食のエッグサンドが、アメリカで食べていると思えないほど、最高に美味。ガーリックが効いた繊細な味のパンに、ふわふわの卵。その上に、複雑な味わいでありながら、抜群にバランスのとれたソースがかかっていたのだ。チーズもうっとうしくない適度な量。好きなものに出会えて、朝から最高の気分になった。

astro coffee

2124 Michigan Avenue

Detroit, MI  48216

313.808.0351

Tu-F 7:30am to 6pm

Sat  8:30am to 6pm

Sun  9am to 5pm

http://www.astrodetroit.com

 

 

 

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廃墟の街デトロイト

文・長谷川昭雄

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デトロイトに初めて訪れたのは、約10年前。

隣町にあるアン・アバーの大学に通う友人に会いに行ったときだった。「デトロイトってすごいことになっているって聞くから、見てみたいんだけど」。そうお願いすると、彼女は少し嫌そうな顔をした。危ないし、そりゃ見に行っても得することなんてない。でも「少しならドライブスルーするよ」とダウンタウンに車を走らせてくれた。観光に付き合ってもらい、モータウンのレコーディング・スタジオを見学した。あのときは、わがまま聞いてくれてありがとう。

そのとき、私は想像以上の衝撃受けた。まるで、映画のセットに迷い込み、世界の終わりのワンシーンにいるようだった。ピカピカの新しい高層ビルが立ち並ぶ都会なのに、店も人もいなくてガラッガラ。。見渡す限り、生命の存在するかけらさえ見当たらない。ウェスタンの映画のように、タンブルウィードみたいなプラスチックの袋が飛んで舞っていた。さみしい。そして奇妙。遠くにホームレスみたいな、ゾンビみたいな影が。。「私、ここで何しているんだろう。」ハッと我に戻った途端、急に、友達の家に帰りたくなった。

あの時みた景色は、自分の中でどんどんドラマチックになってしまっているかもしれない。だけど、今まで信じていたこと、当たり前と思っていたことが目の前で当たり前じゃなくなった瞬間だった。現実の方が信じがたい時だってあるんだ。そう感じた出来事だった。

 

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